空き家問題を徹底解説!増加の原因・リスク・解決法まで全て教えます

「空き家をとりあえず所有している」

「空き家問題って聞くけど何が問題なのだろう?」

と空き家問題について詳しく知っている方は少ないです。

しかし、空き家による問題は年々増加してきています。

そこでトラブルになる前に正しい対策を取ることが求められているのです。

本記事では、空き家問題から解決策まで詳しく解説します。

これを読んでまずは空き家に対する知識を持ち、適切な方法で活用していきましょう。

1.そもそも空き家が増えている原因

近年空き家は増加傾向にあるので、まずはその原因を把握しましょう。

空き家増加の主な原因は以下の通りです。

  1. 新築と中古の需要バランス
  2. 相続問題
  3. 税金問題
  4. 高齢化現象

空き家増加の原因は多岐に渡ることが見て分かります。

しかし、とるべき対策は原因によって変わる場合があるので、まずは原因を把握しなければいけません

以下では上記の4つの原因について詳しく解説します。

近年なぜ空き家が増加しているのかを理解することから始めることが第1ステップです。

原因1.新築と中古の需要バランス

日本の新築人気の高さは、空き家増加の原因の1つになっています。

人口が減少傾向にあるにも関わらず新築が増えると必然的に余った中古物件が増えるためです。

「マイホーム購入」と言えば新築を思い浮かべませんか?

それほど日本人文化は新築への想いが強いと言えます。

さらに戦後に住宅新築の国策が取られていた影響で、現在でも政府は新築に特別のローン控除の優遇策を設けていたりするのです。

このような理由から売りに出された中古物件はやはり選ばれにくい現状があります。

事実、国土交通省の統計によると中古物件の約5倍の量の新築着工が毎年行われているのです。

中古物件には目を向けず新築を立てる日本人の傾向が、空き家の増加に影響しています。

原因2.相続の問題

親などの物件を相続した場合はそのまま空き家になることが多いです。

その理由は大きく分けて以下の3つになります。

  1. 遠方にあるためすぐに対応できない
  2. 相続人間で利用方法について揉めている
  3. 実家の活用に罪悪感がある

相続した物件を活用するというのは簡単な作業ではありません。

まずは活用方法について売却・解体・リフォームなどから決める必要があります。

しかしその際、相続人が複数人いる場合は全員の同意を得るには時間がかかることは少なくありません。

中には、親族の物件に手を加えることをためらう人もいます。

またいざ活用方法が決まったとしても遠方に物件がある場合はどうしても時間がかかるのです

このように相続した物件は活用を行うまでに時間が要するため、空き家になりがちの傾向があります。

原因3.税金の問題

税金の観点からも空き家を放置しておくケースも頻繁に発生しています。

なぜなら、建物がある土地の固定資産税は安くなることがあるためです。

具体的には以下のような特例が固定資産税について定められています。

「土地に建物が建っていると土地の面積200㎡までの分について6分の1に減額される」

つまり空き家を更地にしてしまうと最大で固定資産税が6倍に膨れ上がることがあるのです。

そのため実質利用していなくても空き家のまま放置する人が多くいます。

このような固定資産税の税制体制も空き家増加の原因の1つです。

原因4.高齢化問題

高齢化が進むことで空き家が増加しています。

団塊の世代の方々が1人では暮らせない年代になってきているためです。

これまでサポートなしで暮らしていた人もいずれは人手が必要になり、老人ホームや二世帯住宅に引っ越す必要が出てきます。

しかし現在高齢化によってその人口が急激に増えているのです。

それに伴い高齢者から手放なされた中古物件も増加していきますが、老朽化の問題などから中古市場の中でもあまり人気は高くありません。

このように社会問題でもある日本の高齢化が空き家問題にも大きな影響を与えています。

2.事前にしておきたい!空き家の種類

次に「空き家」の種類を知っておく必要があります。

実はあなたも気づかず空き家を所有している場合もあるかもしれないためです。

空き家と言えば「ボロボロになった家」と思い込んでいませんか。

実はそうではなく空き家には以下の4種類があります。

  1. 賃貸用住宅
  2. 売却用住宅
  3. 二次的住宅
  4. その他の住宅

この中には、1年に数回しか利用されない別荘や新築賃貸物件の空き部屋も含まれます。

このように空き家の定義は多数の方が想像するよりも幅広いのです。

あなたも気づかぬうちに空き家の所有者になっていませんか?

「その他の住宅」は上記3つに分類されない例外的な物件を指すので、以下では1~3について解説します。

空き家の種類を知り、自分の物件は「空き家」なのかを正しく把握しましょう。

種類1.賃貸用住宅

賃貸住宅は最も大きな割合を占める「空き家」なので、賃貸人は必ず把握しておきましょう。

賃貸住宅とは

賃貸のために建てられた物件(マンションやアパート、一戸建て)のうち入居者がいないもの。

これは全体の空き家の50%以上を占めています。

1つ注意しなければいけないのは、アパートやマンションに1つでも空室があればそれは空き家となる点です。

つまり特別人気でない限り、賃貸物件の多くは空き家となってしまう可能性があります。

このように賃貸物件を所有している人は、空き家所有者になるかもしれないという認識を持つことが必要です。

種類2.売却用住宅

売却中も空き家としてカウントされることがあるので注意しましょう。

売却用住宅とは

新築、中古に関わらず売却のために空き家になっている住宅

不動産売却は空き家にしてから行う方がスムーズなので、多くはこの手法が取られています。

しかしその間は空き家となっているので当然空き家リスクが発生します。

売却中の物件がある方は「空き家を持っている」という認識を持ち、完全に売却するまでは正しい方法で管理しましょう。

正しい管理方法は、本記事の「5.空き家の正しい対処方法とは」にて解説しているので、そちらをご覧ください。

種類3.二次的住宅

利用はしていてもその頻度が低い場合は空き家になることがあるので、注意が必要です。

二次的住宅は本宅ではないが生活で使っている住宅のことを指します。

具体的な例としては以下の通りです。

  • リゾート地の別荘
  • よく行く地方などで所有するセカンドハウス

つまり、住宅として利用していたとしても使用頻度が低い場合は空き家として分類されてしまいます。

富裕層の方は特に複数の住宅を持つあまり管理が甘くなりがちです。

住宅管理は大変ですがしっかり行わないと問題に巻き込まれることがあります。

上記のような物件を所有している方は、空き家意識を持って管理をしっかり行うことが重要です。

3.空き家の2大リスク!外部不経済について

空き家を放置すると大きなリスクが発生するので、まずはそれらをしっかり理解しましょう。

空き家には「外部不経済」と「機会損失」の2つのリスクが存在します。

まずこの章では「外部不経済」について解説していきます。

外部不経済とは、空き家周辺の第三者に不利益が及ぶことを意味する言葉です。

以下では4つの外部不経済について詳しく説明します。

  1. 建物の崩壊
  2. 景観の悪化
  3. 治安の悪化
  4. 価格の崩落

建物の崩壊や治安の悪化など物理的にも経済的にも損害を与えるリスクが潜んでいます。

このように空き家は所有者だけの問題ではないのです。

まずは外部に与える影響をしっかり理解して、対策を立てることが重要になります。

リスク1.建物の倒壊

建物の老朽化により倒壊してしまうと非常に危険なので安全管理は徹底してください。

空き家の多くは放置されており、老朽化が早く進んでしまう傾向があります。

特に日本国内の多くは木造建築なので換気などを行わないと倒壊の危険性が高まるのです。

また古い建物の多くは耐震性が高くはないことも考慮しなければいけません。

物件が倒壊してしまうことは非常に危険なことです。

人命に関わる問題がゆえに賠償金も巨額になるケースが発生しています。

空き家でも「所有者」であるという意識を持ち、安全管理を行うことは必要最低限の義務行為なので絶対に怠らないでください。

リスク2.景観の悪化

空き家を長期間放置放置していると老朽化が進むため、景観の悪化に繋がります。

景観の悪化とは、雑草が伸びてしまうなど、長期間人間が手入れをしていないせいで景観上良くない状態です。

この状態が続くと景観の悪化だけでなく害虫の繁殖の原因となってしまうこともあります。

「見た目が良くない」

「害虫が発生する」

という家が近所にあったらどういう気持ちになるでしょうか。

やはり良い気持ちはしませんよね。

空き家を放置してしまうと、景観の悪化や害虫の発生による迷惑がかかることに注意が必要です。

リスク3.治安の悪化

空き家は犯罪の温床になってしまう可能性があるので、周辺地域の治安悪化に繋がるのです。

空き家では以下のような犯罪が発生しています。

  • 窃盗罪
  • 不法投棄
  • 放火
  • 薬物売買

上記のように空き家は人目がどうしても少なくなるので犯罪が頻繁に発生します。

このような犯罪リスクは治安の悪化に繋がってしまうのです。

周辺地域の治安が悪化するとさらなる重大犯罪に繋がる可能性もあります。

空き家はしっかり管理を行わないと治安の影響を与えてしまうことを覚えておきましょう。

リスク4.価格の崩壊

空き家による悪影響の結果として、周辺住宅の価格が低下に繋がる可能性があるので注意しましょう。

すでに述べた通り、空き家を放置すると以下のような外部不経済を引き起こしてしまいます。

  • 安全性の低下
  • 景観の悪化
  • 治安の悪化

このような住宅の周辺にはもちろん誰も住みたくありませんよね。

なのでそのエリアへの引っ越しを検討する人はたちまちいなくなります。

その結果として周辺住宅の価値が大幅に低下してしまうことがあるのです。

この住宅価値の損傷は、損害賠償請求に繋がった事例も少なくありません。

エリア一帯の価値にまで影響を及ぼし、損害賠償の原因になることもあるので空き家の管理は非常に大切です。

4.空き家の2大リスク!機会損失について

空き家はその土地が活用されていないということなので、利益を得られる機会を失っている状態なのです。

この状態を「機会損失」といいます。

機会損失は外部不経済にならんで空き家の2大リスクの1つです。

ここで「自分は活用するのも面倒だから利益はいらない」と考える方も少なくありません。

しかし活用しないことによって発生する損失は、所有者だけではなく行政的にも大きいのです。

以下では、「行政」と「所有者」の両方の機会損失について見ていきましょう。

空き家の放置は、現状維持ではなくマイナスです。

空き家を活用しないことによる利益の損失がなにであるかをまずは学びましょう。

リスク1.地方活性化の機会損失

空き家が増えると人や税収入が少なくなるので、地方活性化の妨げになってしまいます。

地域における空き家が増加すると以下のような悪影響をもたらすのです。

  • 税収が悪化する
  • 土地が活用されず無駄になる

空き家は人が住んでいない状態なので、もちろん税収入が得られません。

そして一般的に、空き家率が30%を超えてくるとその自治体は経済破綻の可能性が高くなるといわれています。

また地方活性化は、新しい入居者やお店ができることにより生まれるのです。

言い換えると人の動きが経済活動には必須といえます。

しかし、空き家の所有者が住宅を手放さない限りその土地は有効に使われず新たな経済活動はうまれません。

結果として経済に大きな損失を与えてしまうのです。

このように空き家の増加は地方の経済にダメージを与えることに注意しましょう。

リスク2.固定資産税の支払い

空き家にも固定資産税は発生するので、税金の無駄払いといえます。

たとえ空き家であっても固定資産税を支払うことは法律によって定められているのです。

具体的な固定資産税の計算方法は以下になります。

固定資産税=固定資産税評価額×税率(標準税率1.4%)

しかし本記事の上記でも述べた通り、住宅がある土地の固定資産税は軽減される制度が設けられています。

このことから空き家を取り壊さず放置することで固定資産税を軽減する手法が多く見られました。

ですが2015年に施行された法律により、「特定空き家」と国から指定された物件に関してはこの軽減措置が適用されなくなったのです。

国も空き家問題について力を注ぎ始めています。

このまま放置していても固定資産税の無駄払いになることに注意しましょう。

5.空き家問題はこれで解決!正しい4つの対処方法

 空き家問題は正しい方法で対策すればリスクを避けられるのでそれらについてしっかり把握しましょう。

本記事ではこれまで空き家問題について詳しく解説してきました

空き家のリスクの高さ、数の増加による社会問題化について理解できしたよね

しかし、以下のような対策を取ることで解決できる問題も存在するのです。

  1. 空き家対策特別措置法
  2. 空き家バンク
  3. 空き家管理サービス
  4. 売却

1つ1つ理解すればあなたにとってぴったりの対処法が見つかります。

まずは理解をし自分の状況に照らし合わせて行動を起こしましょう。

対処法1.空き家対策特別措置法

現在は政府も空き家問題を課題視しているため空き家の撤去が進んでいることに注意してください。

2015年には空き家対策特別措置法が施行されました。

この法律により「特定空き家」と指定された物件は税金の優遇が受けられなくなります。

このことによって所有者は空き家を持ち続ける最大のメリットがなくなったのです。

さらに、場合によっては罰金が課せられたり、行政代執行により強制解体が行われる場合があります。

この法律が施行されたことに対する認識をまずは持ちましょう。

自治体による強制手続きが進んでいるので、その前に自らの手で対処することで余計な損失を防ぐことができます。

対処法2.空き家バンク

現在「空き家バンク」が注目されているので、この制度について理解しておくことが重要です。

空き家バンクとは

空き家の所有者と、利用希望者がマッチングできるサービスのこと。

このサービスは自治体から認可を受けた団体が運営を行っているので信頼できる上、営利目的ではないので破綻することもありません。

空き家の活用方法に困っている方には売ってつけと言えます。

さらに、利用希望者も比較的安価で利用可能なのでwin-winのシステムです。

空き家の活用を考えている方は一度自治体に足を運んでみることをおすすめします。

「空き家バンク」は有効な対策の1つとして急成長しているのです。

対処法3.空き家管理サービス

空き家の管理に困っている方には、「空き家管理サービス」がおすすめです。

以下のような状態にあるかたは空き家の管理が困難といえます。

  • 空き家が遠方にある
  • 相続問題の真っ只中
  • 物件の売り手を探しているところ

このように空き家を活用したくても放置せざるを得ない状況は少なからずあります。

そんな時に代行で空き家を管理してくれるのが、「空き家管理サービス」です。

NPO法人から民間企業など事業主は多岐に渡ります。

価格も月一回の目視点検で100円からなどかなり安価なサービスです。

「どうにかしたい気持ちはあるけど対処できない」

という方には空き家管理サービスの利用がおすすめです。

対処法4.売却

空き家の活用を考えていない方にとって、デメリットから逃れる最も手っ取り早い対処法は「売却」です。

以下のように空き家は活用しない限りコストとリスクが付きまといます。

  • 固定資産税の支払い
  • 管理コスト
  • 空き家トラブルのリスク

なので、空き家に利用価値を見出していないのであれば「売却」がこれらのデメリットから抜け出す最適な方法です。

売却方法には以下の2つがあります。

  1. 不動産会社を仲介する売却
  2. 空き家バンクを利用して売却

不動産に一定の価値が残っている場合は不動産業者に委託する方が高く売れます。

一方で古くなり価値のない物件であっても空き家バンクを利用すれば0円で手放すことが可能です。

もちろんお金は得られませんが空き家のデメリットから逃れることはできます。

空き家はもう必要ない、という方は一度売却を検討してみましょう。

まとめ

本記事では、空き家問題について解説してきました。

空き家は活用しない限り様々なデメリットを生んでしまいます。

一方で、宝の持ち腐れになるのではなく正しく活用することで新たな利益を得られるのです。

この記事を読んで問題について理解し、トラブルに巻き込まれる前に正しい対処を行いましょう。