【節税のためならNG?】不動産投資の節税シミュレーションについて徹底解説

「不動産投資で節税できる税金や仕組みはなに?」

「不動産投資の節税シミュレーションが知りたい。」

など、不動産投資の節税とシミュレーションについてお調べですね。

不動産投資をすれば、所得税や住民税の節税が期待できます。

節税効果が高く、老後資金対策にもなるため、多くのサラリーマンが不動産投資に注目をしています。

しかし、節税の仕組みや節税できる税金の種類、どれくらい軽減できるのかを知らないと、具体的な節税額のシミュレーションもできませんよね。

そこで今回は以下4点について詳しく紹介しています。

  1. 不動産投資の節税仕組み
  2. 年収800万円サラリーマンの節税シミュレーション
  3. 不動産投資を節税だけのために始めるのはNGな理由
  4. 青色申告を使って節税するメリット

この記事を読むことで、不動産投資の節税に詳しくなり、シミュレーションをしやすくなりますので、参考にしてください。

不動産投資で節税ができる代表的な2つの仕組み

不動産投資で節税ができる代表的な2つの仕組み

まずはじめに、不動産投資で節税ができる代表的な2つの仕組みをご紹介します。

不動産投資で節税ができる仕組みを知ることは、節税効果を最大限に高める上で必須です。

節税効果が高まれば、手元資金が増えて今よりも格段に生活の余裕を持てますよ。

ここでは、不動産投資で節税ができる仕組みや年収800万円サラリーマンの節税シミュレーションについて見ていきましょう。

仕組み1.損益通算による節税

不動産投資は、損益通算という仕組みを用いて節税を行います。

損益通算とは、赤字分の所得を他の所得から差し引いて総所得を減らすことです。

たとえば、不動産所得が200万円の赤字で、給与所得が400万円だとしたら、損益通算によって総所得は200万円(▲200万円+400万円)になります。

仮に、赤字額が500万円の場合は所得0円です。

赤字を使って他の所得を相殺できるため、総所得が減り、税負担が小さくなる仕組みになります。

不動産所得は、総合課税で損益通算の対象となっているため、このような方法で節税が可能です。

 

総合課税とは…他の所得と合算したものに課税すること。不動産所得が200万円で給与所得が300万円の場合は500万円に対して課税される。

仕組み2.減価償却による節税

不動産投資は、減価償却によって長期にわたり節税をすることができます

減価償却とは、マンションやアパートなどの固定資産を一定期間で少しずつ費用計上をすることです。

新築物件であれば、以下のように構造ごとに定められた法定耐用年数で減価償却を行います。

構造

法定耐用年数

軽量鉄骨プレハブ造

(厚さ3mm以下)

19年

木造

22年

軽量鉄骨プレハブ造

(厚さ3mm超4mm以下)

27年

重量鉄骨造

(厚さ4mm超)

34年

鉄筋コンクリート造

47年

購入した物件が5,000万円の新築木造アパートであれば、法定耐用年数の22年かけて費用を計上する仕組みです。

「5,000万円÷22年=227万円」で約227万円を毎年費用計上していきます。

減価償却の仕組みによって、費用を支払ったその年だけでなく翌年以降も節税することが可能です。

【年収800万円サラリーマンの場合】不動産投資で節税のシミュレーション

【年収800万円サラリーマンの場合】不動産投資で節税のシミュレーション

ここでは、年収800万円のサラリーマンが不動産投資でどれくらい節税できるのかシミュレーションをしていきましょう。

まず、不動産投資をしなかった場合の税金についてシミュレーションしていきます。

配偶者や子供がいるサラリーマンの場合、次のような控除があります。

  • 給与所得控除(収入金額×10%+1,200,000円)
  • 基礎控除(38万円)
  • 社会保険料控除(年金や健康保険料など)
  • 生命保険料控除(生命保険料など)

このような控除を考慮すると、課税所得は400万円程度になります。

そして、課税所得額に対して、以下該当する所得税率や住民税率を掛けることで、税金の算出が可能です。

所得税については、所得額に応じて税率と税額控除が変わります。

課税所得額

税率

控除額

195万円以下

5%

0円

195万円超330万円以下

10%

9万7,500円

330万円超695万円以下

20%

42万7,500円

695万円超900万円以下

23%

63万6,000円

900万円超1,800万円以下

33%

153万6,000円

1,800万円超4,000万円以下

40%

279万6,000円

4,000万円

45%

479万6,000円

課税所得が400万円であれば、税率は20%、控除額は42万7,500円です。

したがって、「400万円×税率20%−控除額42万7,500円」で37万2,500円になります。

●住民税

所得割

税率10%(都道府県税4%、市町村税6%)

均等割

都道府県税1,500円、市町村税3,500円

※自治体によって異なる場合があります。

これにより、「400万円×10%+5,000円」で、40万5,000円です。

次に、不動産投資をした場合のシミュレーションを紹介していきます。

仮に、2,000万円の新築ワンルームマンションを購入した場合、ローン金利や損害保険料など、さまざまな経費や減価償却によって100万円の赤字になったとしましょう。

損益通算によって、給与所得400万円から100万円を差し引くため、所得は300万円になります。

所得300万円の所得税と住民税は次のとおりです。

  • 所得税:20万2,500円(300万円×税率10%−9万7,500円)
  • 住民税:30万5,000円(300万円×税率10%+5,000円)

不動産投資をしない場合と比べると、大きく節税できたことがわかります。

  • 所得税:37万2,500円→20万2,500円(▲17万円)
  • 住民税:40万5,000円→30万5,000円(▲10万円)

実際には、より細かく所得控除や税額控除が反映され、家族構成や不動産所得額も異なるので、数字は変わる可能性があります。

しかし、不動産投資をすることで、このように10万円以上の節税ができることは、決して珍しいことではありません。

不動産投資を”節税のため”に始めるのはNGな2つの理由

不動産投資を”節税のため”に始めるのはNGな2つの理由

ここまで不動産投資の節税効果についてご紹介してきました。

節税効果が高く、興味を持った方もいるのではないでしょうか。

ですが、不動産投資を「節税のため」に始めるのは絶対にやめてください

安易に節税目的で不動産投資を始めると、最悪の場合は破産もありえます。

ここからはその理由を詳しく説明していきますね。

不動産投資は節税効果が高いですが、節税だけを考えて始めるのはかなり危険ですよ。

以下は、不動産投資を節税のために始めるのはNGな2つの理由です。

  1. 赤字を出さないと節税にならない
  2. 「デッドクロス」を起こしてしまう

それぞれの理由を確認し、リスクを回避できるようにしましょう。

理由1.赤字を出さないと節税にならない

不動産投資で節税をするには、会計上赤字が出ないといけません

不動産所得が赤字であれば、損益通算によって他の黒字所得を相殺できるためです。

不動産所得が黒字の場合は、総所得が増えるため税負担も大きくなってしまいます。

不動産投資の節税は、赤字を出すことが前提です。

「毎年赤字ならお金が減ってしまうのでは?」と心配する方もいるでしょう。

しかし、必ずしも「赤字=お金が減る」ではありません。

不動産投資は減価償却ができるため、実際はお金が増えていても、会計上赤字になるためです。

不動産所得を赤字にして節税をするためにも、最大限の経費を計上することが大切になります。

とはいえ、毎年赤字になるとは限りませんよね。

家賃収入が多くなったり、経費が少なければ、会計上は黒字の可能性が高いです。

黒字の場合は節税効果が期待できません。

そうなると手間と時間を大幅にロスしてしまいます。

そのため、常に赤字を生み出し続けるリスクのある節税目的の不動産投資はやめた方がいいでしょう。

理由2.「デッドクロス」を起こしてしまう

デッドクロスとは、「ローンの返済元金額が減価償却費を上回る」状況のことを言います。

つまり、減価償却でカサ増ししていた経費がなくなることで帳簿上の収入が増え、税負担が大きくなってしまう。

それなのに実質の収入が変わらないため、ローン返済によって手元のキャッシュが少なくなる状態のことです。

ローンの返済元金は経費計上できないため、手元のお金が減るのみになってしまいます。

デッドクロスが発生することで手元資金がない状態に陥る可能性があるため、気をつけなくてはいけません。

会計上は黒字であったとしても、キャッシュフロー上は資金がなく、黒字倒産になる恐れもあります。

デッドクロスを回避するために取れる手段は2つです。

  1. できるだけ自己資金を多く投じ、減価償却期間内にローンを完済すること
  2. キャッシュフローがマイナスにならないように、利回りの高い物件を選ぶこと

節税だけを考えて不動産投資を始めると、デッドクロスによって破産する可能性があるため注意してください。

「青色申告」を使って節税する3つのメリット

「青色申告」を使って節税する3つのメリット

青色申告を使えば、節税効果を高めることができます

白色申告よりも控除額が大きく、経費として認められる範囲も広がり、損失分を翌年以降にまわせるためです。

青色申告を使うことで、税負担が減り、よりたくさんのお金を手元に残せるようになるでしょう。

以下は、青色申告を使って節税をする代表的な3つのメリットです。

  1. 65万円控除になる
  2. 家族への給与が経費になる
  3. 損失を繰り越しできる

それぞれのメリットについて、確認していきましょう。

※青色申告をするには、事前に税務署へ「所得税の青色申告承認申請書」を提出し、承認を受ける必要があります。

青色申告のメリット1.65万円控除になる

青色申告を使って節税するメリットの1つが、65万円控除になることです。

青色申告には単式簿記と複式簿記があり、10万円もしくは65万円の特別控除を受けることができます。

白色申告よりも、提出する書類や確定申告作成の手間は増えますが、最大65万円の控除は節税において大きなメリットです。

65万円の特別控除を受けるには、仕訳帳や損益計算書、貸借対照表など作成する必要がありますが、会計ソフトを使用すれば初めての人でも簡単に作ることができます。

青色申告をするだけで、課税所得を65万円減らすことができ、税負担を軽減することが可能です。

青色申告のメリット2.家族への給与が経費になる

家族への給与が経費になることも、青色申告のメリットになります。

具体的には、15歳以上で事業に専属的に従事する家族への給与を経費計上することが可能です。

青色事業者専従者給与と呼ばれ、事前に青色事業専従給与に関する届出書を提出しておく必要があります。

白色申告の場合は、家族への給与を最大86万円まで控除(白色専従者控除)することができますが、青色申告の場合は給与全額を経費にできるのが特徴です。

仮に、家族への給与が毎月8万円の場合は、年間で96万円も専従者給与として経費計上できます。

青色申告をすれば、65万円特別控除に加え、家族への給与を全額経費として扱えるのがメリットです。

青色申告のメリット3.損失を繰り越しできる

青色申告のメリットは、損失を繰り越しができることです。

不動産投資で赤字が出た分は、損益通算で他の所得から差し引くことができます。

赤字分を消化できない場合は、損失を最長3年間繰り越すことができるのが、青色申告の特徴です。

そのため、今年出た赤字を使って、翌年以降に節税することもできます

白色申告でも3年間の繰り越しはありますが、対象となるのは被災事業用資産の損失と変動所得の損失のみです。

青色申告の場合は、細かい制限は定められていないため、赤字分を最大限活用することができます。

損失を繰り越し、翌年以降の節税に使えることも青色申告を使うメリットです。

まとめ

ここでは、不動産投資で節税をする仕組みやシミュレーション、節税目的だけでは危険な理由などを紹介いたしました。

あらためて最後に、ここで紹介した大事なポイントをまとめると、次の4点になります。

  1. 不動産投資は損益通算や減価償却の仕組みで節税ができる
  2. 赤字が必要でデッドクロスがあるため節税だけを目的に不動産投資を始めるのは危険
  3. 確定申告は節税効果が高い青色申告がおすすめ
  4. あくまでも収益を第一に考え、高利回り物件を見つけることがとても大事

不動産投資は節税効果が高いことで人気がありますが、収益が出ないと、負の財産になってしまいます。

収益性や資産性が高い物件を購入するためにも、信頼できる不動産会社を見つけることが大事です。

一括査定サイトを活用して、いろいろな不動産会社の説明を聞き、信頼できる業者を選びましょう。

ここで紹介した内容を参考にして、早速、収支や資金シミュレーションをしてみてください。