日本にある消滅可能性都市とは?896の自治体が20年後になくなる危機

「消滅可能性都市って何?日本にあるの?」

など、「消滅可能性都市」が何なのか疑問を持っていることでしょう。

消滅可能性都市とは、いずれ失くなる可能性がある自治体のことで、日本には800超存在しています

これは、全国の市区町村の約半分であり、驚くべき数字です。

これからも人口減少、少子高齢化が進む日本において、大きな問題となっています。

本記事では、消滅可能性都市が生まれる背景や弊害などについて、紹介しています。

この記事を読めば、消滅可能性都市について理解でき、この問題を考えるきっかけとなるでしょう。

1. 消滅可能性都市とは

消滅可能性都市とは

「消滅可能性都市」とは、人口減少(流出)や少子化が進むことで存続ができなくなり、消滅の可能性がある自治体のことで、2014年に日本創成会議が指摘をしました。

ここでは、消滅可能性都市の定義や該当する自治体数などについて、紹介していきます。

「消滅可能性都市」の定義

日本創成会議によると「消滅可能性都市」は、次のように定義されています。

2010年から2040年にかけて、20〜39歳の若年女性人口が5割以下に減少する市区町村

9割の女性が20〜39歳で出産をすると言われており、この年代の女性が50%以上減少することで、人口が維持できなくなり消滅の可能性があるということです。

しかし、第二次ベビーブーム世代はすでに40歳を超えているため、出産年齢女性の人口は減少が続いています。

また、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(平成29年推計)」によると、2015年に1億2,709万人だったのが、2040年には1億1,092万人、2053年には9,924万人まで減る予測です。

つまり、出産年齢女性も人口自体も減少が続く中、定義に当てはまる自治体は増加する可能性が高いと言えます。

消滅可能性都市は日本全国で「896自治体」もある

全国にある1,799の市区町村のうち、消滅可能性都市は896もあります。

約50%の割合であり、市区町村2つに1つが消滅可能性都市であるということです。

また、消滅可能性都市に該当する896市区町村のうち、523は人口1万人未満であり、消滅の可能性がさらに高いことが報告されています。

つまり、全国の市区町村の「2つに1つが消滅可能性都市」で、「3〜4つに1つが消滅の可能性が高い地域」ということです。

主な消滅可能性都市

消滅可能性都市に該当する主な市区町村は、次のとおりです。

  • 南牧村(群馬県)
  • 今別町(青森県)
  • 神流町(群馬県)
  • 夕張市(北海道)
  • 松前町(北海道)
  • 吉野町(奈良県)
  • 那賀町(徳島県)
  • 高野町(和歌山県)
  • 神山町(徳島県)
  • 能勢町(山梨県)
  • 若桜町(鳥取県)
  • 能登町(石川県)
  • 新上五島町(長崎県) など

日本創成会議の推計によれば、青森県、岩手県、秋田県、山形県、島根県にある市町村の8割以上が消滅可能性都市になります。

秋田県に関しては、大潟村を除くすべての自治体が消滅可能性都市です。

消滅可能性都市の割合が最も低いのが愛知県(10.1%)で、次に滋賀県や神奈川県、東京都が続いています。

2. 消滅可能性都市が生まれる4つの背景

消滅可能性都市が生まれる4つの背景

消滅可能性都市が生まれるのには理由があります。

どのような理由・背景で消滅可能性都市が生まれるのか、知っておくことは重要です。

理由や背景がわかれば、消滅可能性都市を防ぐことが、いかに難しいかも理解できます。

以下は、消滅可能性都市が生まれる主な4つの背景です。

  1. 人口減少
  2. 少子高齢化
  3. 都市部への人口流出
  4. 出産年齢女性の人口減少

1つずつ、確認していきましょう。

背景1.人口減少

日本の人口減少が進んでいるため、消滅可能性都市が生まれます。

調査主体によって数値は異なりますが、各調査に共通しているのが、2050年前後に総人口が1億人を下回るということです。

総務省の推計では、2050年に9,708万人、2100年には少なくて3,795万人、多くても6,485万人としています。

人口減少で出産年齢女性の数も減るので、消滅可能性都市がたくさん生まれるのは当然のことです。

人口減少のスピードが加速すれば、より多くの消滅可能性都市が生まれることになります。

背景2. 少子高齢化

少子高齢化も、消滅可能性都市を生み出す原因の1つです。

少子高齢化が進めば、出産年齢女性が増えることはありません。

国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」によると、以下のように少子高齢化は益々進むことになります。

  2020年 2030年 2040年 2050年 2060年
総人口 1億2,410万人 1億1,662万人 1億728万人 9,708万人 8,674万人
65歳以上人口 3,612万人 3,685万人 3,878万人 3,768万人 3,464万人
高齢化率 29.1% 31.6% 36.1% 38.8% 39.9%
15歳〜64歳人口 7,341万人 6,773万人 5,787万人 5,001万人 4,418万人
〜14歳人口 1,457万人 1,204万人 1,073万人 939万人 792万人

※中位推計:合計特殊出生率1.35の場合

高齢者(65歳以上)人口は2042年にピークを迎える見込みですが、総人口が減少しているため、高齢化率は上昇を続けます。

高齢化率は、2100年に41%程度まで上昇していると考えられています。

背景3.都市部への人口流出

地方から都市部への人口流出も、消滅可能性都市を生む要因となっています。

総務省が2019年に発表した、住民基本台帳に基づく外国人を含む人口移動報告(2018年)によると、東京圏の転入超過は139,868人です。

前年比で14,338人増加しており、日本人の転入超過は23年連続となっています。

また、東京圏以外では、愛知県、大阪府、福岡県も転入超過となっている地域です。

進学や就職などが理由で、毎年多くの若者が地方から都市圏へ流出しています。

そして、地方に戻る若者が少ないことで、消滅可能性都市が生まれてしまうのです。

東京圏…東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県
転入超過…転入者が転出者を上回ること

背景4.出産年齢女性の人口減少

出産年齢女性が減っていることも、消滅可能性都市が生まれる要因の1つです。

先に紹介した通り、女性が出産する年齢は9割以上が20歳〜39歳になります。

しかし、この世代の女性の数は減少が続いており、合計特殊出生率も1.4程度です。

日本創成会議の発表は、出生率1.4程度が続けば30年〜40年後には若年女性が現在の5割まで減少するという予測しています。

出生年齢女性の数が減ることで、子供も少なくなり、さらに出生年齢女性が減少していくという悪循環です。

出生年齢女性が少なくなれば、消滅可能性都市は増えることになります。

3. 東京23区で唯一の消滅可能性都市「豊島区」

東京23区で唯一の消滅可能性都市「豊島区」

全国の896自治体が消滅可能性都市であることが発表された中で、23区で唯一入っていたのが豊島区です。

なぜ、23区で豊島区だけが消滅可能性都市になったのか、その理由や豊島区の対策について紹介します。

豊島区が消滅可能性都市になる理由

豊島区が消滅可能性都市になっている理由として考えられるのは、「転出入が活発で定住率が低い」からです。

総務省の「平成22(2010)年国勢調査」によると、豊島区の定住率(23区比較)は46.0%で、3番目に低いエリアになります(最下位:港区40.7%、2番目:中央区43.7%)。

豊島区の定住率が低い理由になるのが、若年世代の単身世帯が非常に多く、外国人比率が高いことです。

2016年時点で2万5,000人近い外国人の方が住んでいます(人口比約9%)。

このような理由から、豊島区の人口は増加傾向であるものの、消滅可能性都市に選ばれたと考えられるでしょう。

現在進めている豊島区の対策

豊島区は、消滅可能性都市の発表後すぐに対策会議を開いています。

そして、会議の翌年には11事業、8,800万円の予算が決定しました。

2016年には、女性目線ですべての人が住みやすい街づくりを目指す女性にやさしいまちづくり担当課」を設置しています。

住民参加型で街づくりについて会議する「としまぐらし会議」も生まれました。

この他にも、消滅可能性都市と発表されてから、豊島区ではさまざまな対策が施されています。

4. 消滅可能性都市になることの5つの弊害

消滅可能性都市になることの5つの弊害

消滅可能性都市になれば財政難となり、公共交通機関・公共施設やインフラ整備など多くの部分に弊害が出ます

2006年に人口減が原因で破綻した北海道夕張市では、住民が多くの負担を強いられることになりました。

消滅可能性都市になれば、同じような弊害・負担が出ることが考えられます。

ここでは、以下、消滅可能性都市になることの5つの弊害について確認していきましょう。

  1. 電車やバスの本数・路線が減る
  2. 学校や病院が統合により大幅に減る
  3. 図書館や集会所など公共施設がなくなる
  4. 税金や手数料が高くなる
  5. インフラ整備が進まず災害リスクが高まる

弊害1.電車やバスの本数・路線が減る

消滅可能性都市になると、電車やバスの本数・路線が減ることになります。

地域を運行するバスが来なくなって、高齢者が買い物や病院に行きづらくなるでしょう。

電車の本数が減ればますます不便になり、人口流入どころか流出が増えることになります。

公共交通機関にも影響が出て、不便を強いられることになるのが消滅可能性都市の弊害です。

弊害2.学校や病院が統合により大幅に減る

消滅可能性都市になると、コスト削減のため学校や病院が統合され、大幅に減ることになります。

財政破綻をした夕張市は、200床以上の総合病院が19床の診療所に変更されたり、小学校6校が1校に統廃合されました。

人口減や財政難で、従来の学校や病院の数を維持できなくなるのです。

消滅可能性都市になれば、学校や病院にまで影響が出てしまいます。

弊害3.図書館や集会所など公共施設がなくなる

図書館や集会所などの公共施設がなくなることも、消滅可能性都市になる弊害です。

公共施設の維持管理費用の捻出が難しくなるため、施設の大半が廃止に追い込まれてしまいます。

そのため、施設を利用したイベントや住民サービスも実施が難しくなるでしょう。

住民の憩いの場が少なくなり、家族や友人と出かける場所も少なくなってしまいます。

「あるのがあたりまえ」の公共施設にまで影響が出るのが、消滅可能性都市の恐いところです。

弊害4.税金や手数料が高くなる

消滅可能性都市になれば、財政難で税金や手数料が高くなる可能性があります。

人口減によって財政破綻した夕張市では、市民税が引き上げられ、窓口業務の各種手数料も高くなりました。

自治体が財政難でお金がなく、公共サービス等を提供するための財源確保のためです。

人口や企業が少なくなり税収が減るため、さまざまな部分にしわ寄せが出ます。

  1. 「人口・企業が減る」
  2. 「税収が減る」
  3. 「公共サービスの質が落ちる」
  4. 「財源確保のために手数料等がすべて高くなる」
  5. 「さらに人口や企業が減る」

という悪循環に陥ります。

このように、税金や各種手数料が高くなることも、消滅可能性都市になる弊害です。

弊害5.インフラ整備が進まず災害リスクが高まる

インフラ整備が進まず災害リスクが高まることも、消滅可能性都市の弊害です。

財政難になるとインフラコストを迎えるため、どうしてもインフラ整備は不十分になります。

消滅可能性都市は山間地に多いため、災害時に大きな被害が出るでしょう。

高齢者が多いため、災害が発生した場合は心配です。

消滅可能性都市になると、災害時の危険性が高まることになります。

まとめ

残念ながら、人口減少、少子高齢化が進む日本において、消滅可能性都市が増えていくことは確実です。

しかし、各自治体が対策を施せば、消滅可能性都市の増加スピードを抑えることができるでしょう。

大切なのは、一人ひとりがこの問題を理解し、向き合うことです。

そうすることで、各自治体もいろんな対策が打てるようになるでしょう。

まずは、ご自身が住んでいる自治体の状況、消滅可能性都市かどうかを確認してみてください。

※参考文献

  1. (出展)厚生労働省「若者(15~39歳)の意識に関する調査」(2013年).(https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12605000-Seisakutoukatsukan-Seisakuhyoukakanshitsu/0000022199.pdf)